SFが苦手な私が、一気に読んでしまった『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
実は、事前に知っていたのは「男が目が覚めるとそこは知らない場所で、さらに隣には覚えのない死体が2つある」ということだけ。
まっさらな状態で主人公と一緒に記憶を取り戻していくみたいでより楽しめました。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』って小説が面白いって聞いたけど?って人は、
できればあまり情報を仕入れずに読むことをおすすめしたい!
上下巻からなる長編ですが、長さを感じさせないくらい物語にのめり込ませてくれます。
まっさらな状態で本を読みたい、という人は、今すぐ読み始めて下さい!
感想にネタバレが含まれるので、まっさらな気持ちで読みたい人は注意して下さい。
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本のあらすじ
タイトル:プロジェクト・ヘイル・メアリー 上下巻
著者:アンディ・ウィアー
Audible:聴き放題対象
宇宙船「ヘイル・メアリー」号でたった一人で目覚めた主人公、グレース。
- 地球に何が起きたのか?
- 「ヘイル・メアリー」号はどこへ向かっているのか?
- 宇宙船で何をしなければならないのか?
- なぜ自分が宇宙船に乗ることになったのか?
グレースが記憶を取り戻す回想パートと、宇宙船で活動する現状パートに分け、
この疑問を解き明かしていくというスタイル。
「ヘイル・メアリー計画」をざっくり解説
タイトルの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」、どんな計画なのかざっくり解説していきます。
ネタバレが含まれるので注意して下さい。
①地球に何が起きたのか?
「アストロファージ(宇宙を食べるもの)」と名付けられた未知の物質。
この物質が太陽のエネルギーを食べていて、このままでは地球は氷河期に突入する危機に。
そこで、地球規模のプロジェクト「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が発動します。
「アストロファージ」から太陽を、ひいては地球を守る計画だったわけです。
②「ヘイル・メアリー」号はどこへ向かっているのか?
「ヘイル・メアリー」号の行き先は、「タウ・セチ」と呼ばれる惑星。
太陽以外の惑星も「アストロファージ」に侵食されている中、この「タウ・セチ」という惑星だけが無事。
「タウ・セチ」に何があるのかを突き止められれば、地球を救えるはず。
③宇宙船で何をしなければならないのか?
「タウ・セチ」に行き、「アストロファージ」の対抗策を見つけ出し、地球にデータを送ること。
これが、グレースが果たさなければならない使命です。
めちゃくちゃ責任重大だし、一人でやる仕事じゃないよ…!
実は、本来なら3人で行うはずだったこの任務。
グレース以外の宇宙船のクルーは、長い移動に耐えられず亡くなっていたのです。
④なぜ自分が宇宙船に乗ることになったのか?
グレースは、地球で教師をしていました。
科学者として研究をしていた過去はあったものの、ごく一般的な市民です。
他のクルーとは、そもそもの立場が違っています。
どうして宇宙船に乗ることになったのか、はこの物語の終盤で明らかになってきます。
この謎がこの物語の大きな魅力だと、個人的には思っています。
感想

この本の魅力を、3つのポイントに絞って紹介していきます。
①SFだし科学だけど「わかりやすい」
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、SFが苦手な人も読みやすい作品です。
もちろん、科学的なことや専門用語はたくさん出てきますが、頭に入ってきやすいのです。
「アストロファージってなに?」ってところから主人公と一緒に学んでいきます。
ゼロからしっかり説明してくれるので、SFや科学が苦手でも「あ〜なんとなくわかる」状態になれます。
そしてグレースも、「これは〇〇だから、◼️◼️をしなければいけない」とわかりやすく説明してくれます。
ちょっと不自然になりそうなこのわかりやすい説明、
物語上「必要なこと」として、読者が自然に納得できる構成になっているのも感心しました。
最初は、記憶喪失状態だった自分の知識を確かめるために。
後半からは、地球の知識を何も知らない「バディ」のために。
②異星人との最高の「バディもの」
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、実は最高の「バディ小説」でもあります。
たった一人で地球を救う使命を背負ったグレースのバディとなったのは、異星人の「ロッキー」。
グレースと同じく、ロッキーもまた母星「惑星エリド」を救うために「タウ・セチ」にやってきていたのです。
ロッキーも旅の途中で仲間を失い、たった1人で使命を果たそうとしていました。
当然、生態も言葉も何もかもが異なるので、お互いの言葉を理解するところからスタート。
この異星間コミニュケーションの過程、2人の頭の良さが垣間見えてとても面白かったです。
そしてロッキー、言葉や行動がとってもかわいい!
グレースを優秀な科学者とするなら、ロッキーは最高の技術者です。
お互いがお互いの知識を補完し、協力しあい、星を救う方法を見つけ出す。
グレースとロッキーは、生まれた星の違いすら乗り越えて、確かな絆で結ばれた「友人」になっていきます。
③主人公・グレースの「強さ」
記憶喪失状態で宇宙に放り出され、自分以外の仲間は死に、地球の命運は自分にかかっている。
おまけに、任務を終えても地球に帰還できないことを、グレースは燃料の残量から知っています。
片道切符の任務に挑んだ理由が明かされるのは物語の後半ですが、
理由が思い出せない状態でも、グレースは自分にできることを全力で行っています。
これは、グレースが「強い」人だということを証明していると思います。
グレースが宇宙船に乗る直接の原因となった人物がいるのですが、その人のしたことがどうであれ、
「あなたの考えは正しかった」と言いたくなりました。
物語の終盤、グレースはロッキーを救うために、一度は手にした希望を捨てることを選択します。
友達のために自分の犠牲を覚悟したグレースに、ロッキーも覚悟を持って応えます。
ぼくはきみを死なせない。ぼくらはきみを家へ帰す。エリドはきみに感謝する。ぼくらはきみを救うためにあらゆることをする
物語のラストは、個人的に全然予想していないもので、読んだ人たちの賛否もさまざま。
私は「ああ、この結末で良かったな」と思いました。
まとめ:プロジェクト・ヘイル・メアリー
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、SF初心者からSF小説好きまで、幅広く楽しめる作品です。
ほんのりミステリー仕立ての構成の中に、地球の危機を前にした人たちの奮闘、異星間コミニュケーション、友情物語と、心踊る要素が詰まった物語です。
主人公グレースが放つ皮肉たっぷりのセリフや、異星人ロッキーの純粋ゆえの痛烈な地球人批判など、ユーモア満載の掛け合いも楽しめます。
映画化が決定しているようなので、ぜひ原作でも読んでみてほしい作品!
Audible(オーディブル)で上下巻とも聴き放題対象になっているので、
- 長編小説は読む時間が取れない
- SF小説はあまり読まないから読み切れるか不安
- 本を読むのは苦手
こんな人は、「耳で聴く」読書を試してみて下さい。
この本の次に読む本
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の次に読む本を紹介します。
同じ作者の代表作。
映画「オデッセイ」の原作としても知られています。
火星に一人残された主人公が、限られた食料・物資、自らの技術・知識を駆使して生き延びていく物語です。
宇宙から病原体が侵入し、一つの町から人間が消えた。
召集された科学者たちの奮闘の五日間を描く、サスペンスSF作品です。
SF作品や、科学者が登場する作品ならではのサスペンスに興味を持った人は、この2作品も読んでみてください。
Audibleで聴けるおすすめの小説が知りたい人はこちらの記事を参考にして下さい。