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【感想】荒木あかね『此の世の果ての殺人』:終末世界にあらわれた究極の「なぜ?」を解き明かす物語

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荒木あかねさんのデビュー作『此の世の果ての殺人』。

何もかもが終わると決まった世界の「なぜ?」を解き明かす物語です。

地球滅亡の危機が迫る中、一般人の小春と、彼女が通う教習所の教官イサガワが遭遇した、トランクの中の死体。

どうせみんな死ぬのに、なぜ、今?

そんな疑問が冒頭から目白押しの、異色のミステリー作品です。

第68回江戸川乱歩賞を史上最年少で受賞し、Z世代のアガサ・クリスティと評されるなど、大きな話題を呼びました。

終末世界×殺人事件という特殊設定ミステリーですが、存分に楽しませていただいたので、その感想を書いていきます。

こんな人におすすめ

  • 特殊設定ミステリーが好き
  • 女性バディものを読むのが好き
  • 江戸川乱歩賞史上最年少受賞作品が気になる
  • 終わる世界で起きた殺人の動機が気になる

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本の情報

タイトル: 『此の世の果ての殺人』
著者: 荒木 あかね
読み放題対象: Audibleの読み放題対象作品。

ざっくりあらすじ

小惑星「テロス」が地球ー日本に衝突することが発表され、世界は終末へのカウントダウンを始めます。
世界はパニックになり、人々は日本から脱出を試みます。今日本にいるのは、ほとんどが事情があって取り残された人だけ。
ほとんど人がいなくなった福岡県太宰府市の自動車教習所に通う教習生の小春と、元刑事の教習所教官、イサガワ。
2人はある日、教習車のトランクに女性の刺殺体が隠されているのを発見します。
「どうせ皆死ぬのに、なぜ?」
小春とイサガワは、終わる世界でこの謎を解明しようと動き出します。


本書を読んだ理由

これはもう、究極の「なぜ?」が気になったからです。

「地球が滅亡するという時に、わざわざ殺人を犯した理由はなんなんだろう?」

あらすじを読んで、この「なぜ?」が頭に浮かんだきっかけです。

混乱に乗じた暴動や自暴自棄による事件ではなさそうです。

世界が終わるのに、どうしてわざわざ人を殺すのか?

この疑問の答えを知りたくて、本書を読むことに決めました。


感想

本書の魅力を以下の3つのポイントに絞ってお伝えします。

①終末世界を生きる「一般人」の描写がリアル

この小説はSFではないので、出てくるのは基本的に「一般人」です。

地球滅亡は回避できない。自分たちは絶対に助からない。
当然のように混乱し、暴動が起き、秩序は失われ、人々はいなくなる。
作品の中でもそのような過程を辿り、ほぼ無人となった九州が描かれます。

そんな世界の中、非日常を日常として生きている人たちの様子がリアル。

絶望に沈みきっているわけではなく、助かることを信じているわけでもない。
ただ、世界が終わるまでは生きていかなくてはいけない。

SFになりきらず、私たちの生活の延長線上として終わる世界を感じることができます。

②魅力的なキャラクターのバディ

元刑事の教官・イサガワと教習生の小春というバディが新鮮です。

世界が終わるという時に教習所に通う小春もちょっと変わった人物ですが、イサガワは輪をかけて変人です。

終末世界であってもなくても、彼女は世間からちょっとズレた人、という感じ。

イサガワを信じてもいいのか?
彼女の言っていることは正しいのか?

読者に近い感覚を持っている小春と一緒に、イサガワをどう扱うか、が大きなポイントになってきます。

③大きな謎と小さな「なぜ?」が引き込ませる

終わってしまう世界で起きた殺人事件は、この物語最大の謎です。

でも、それ以外にも小さな「なぜ?」がたくさん散りばめられています。

主人公の小春が教習所に通っているのはなぜ?
イサガワが教官を続けているのはなぜ?
一番危険なこの地域に残っているのはなぜ?

この小さな「なぜ?」も殺人事件の真相と一緒に解き明かされていきます。

そういうことだったのか、とひとつひとつ納得させてくれます。


まとめ:『此の世の果ての殺人』

荒木あかねさんの『此の世の果ての殺人』の感想をレビューしました。

おすすめポイント

  • 終末世界を生きる「一般人」の描写がリアル
  • 魅力的なキャラクターのバディ
  • 大きな謎と小さな「なぜ?」が引き込ませる

終末世界で起きた殺人事件の謎を筆頭に、そこで生きている「普通の人」の生活や心理の描写がリアルな作品です。

これがデビュー作ってすごい!

ミステリーとしても人間ドラマとしても楽しめる作品です。

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この本を読んだ後におすすめの本

『此の世の果ての殺人』を楽しんだ方には、以下の作品もおすすめです。

ちぎれた鎖と光の切れ端

ざっくりあらすじ

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。
その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすために。
しかし、計画を実行する間際になって「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」と殺意が鈍りはじめる。
樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。
衝撃を受ける間もなく、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。
しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

Z世代のアガサ・クリスティーが描く連鎖殺人。

江戸川乱歩賞受賞後の第1作目。

荒木あかねさんの作風が好きになった人におすすめです。

終末のフール

ざっくりあらすじ

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。
そう予告されてから五年が過ぎた頃、当初は絶望からパニックに陥った世界は、平穏な小康状態にある。
そんな世界の中、仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちを描いた連作短編集。
彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。
家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。
はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?

あと3年、というタイムリミット。世界が終わるまで、長いのか、それとも短いのか。

終末世界という舞台が気になった人には、伊坂幸太郎さんの短編がおすすめです。

世界が終わるまであと3年、という時期の人たちの在り方が、爽やかに描かれています。

そして誰もいなくなった

ざっくりあらすじ

孤島に招待された、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女。
招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声からの告発。
そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく。 

アガサ・クリスティの名作です!

Z世代のアガサ・クリスティが気になったら、本家もチェックしてみて下さい。

  • この記事を書いた人

ほんの

「ほんのりぼん」の運営|1歳児育児中|読書サブスク活用で1年間に300冊読む|オーディブルのおすすめ本を中心に紹介|

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